研究概要 |
本研究は,階段や斜面を昇降できる2足歩行型の歩行障害者用車いすなど福祉分野での現実的な利用が可能な汎用2足歩行ロボットの開発を目指し,主に福祉分野への現実的応用が可能な改良機の開発を目的とした. 平成16年度には,セミアクティブ支持多角形確保機構の改良機をもちいなんらの安定化制御を用いず20mm以内の凹凸のある路面における前進歩行,また非線形コンプライアンスを用いた着地軌道修正制御法を開発し高さ20mm以内の凹凸のある路面における安定歩行などを実現した.また歩行パラメータの調整により蹴上高さ250mmの階段昇降,200mmの階段における人間搭乗昇降に成功したまた福岡市のロボット開発・実証実験特区では,ショッピングモール内や屋外の神社入り口の階段における階段昇降などに成功した.また,前述の着地軌道修正制御を用い,蹴上高さに20mmのばらつきのある階段における安定歩行にも成功した.また転倒回避機構や校正手法に関する研究も行った. 平成17年度には,16年度に開発した着地軌道修正制御法の問題点である姿勢角誤差の累積を防ぐ推定姿勢補償制御法を開発し,これを用い福岡ロボット特区内横断歩道や砂利道での安定歩行を実現した.またセミアクティブ支持多角形確保機構をさらに用いることで福岡城址における傾斜10degの石畳の路面における安定歩行に成功した.また福祉運用のために搭乗する人間が力を抜いたときの振舞いをモデル化しこれを用いた歩行パターン生成法を新たに開発し,これを用いることで安定度が増すことを確認した.さらに,これらを用い,世界初となる屋外不整地での人間搭乗2足歩行を実現した.また,乗り心地に関する検討も行った. これらにより,福祉分野への応用が可能な人間搭乗2足歩行ロボットの基礎技術を開発できたと考える.
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