研究概要 |
光学技術と電子技術を融合させたオプトエレクトロニクスにより,レーザと回折格子の光回折現象を利用する位置センシングをコンピュータ制御で実現する位置センサの開発を行った。以下に研究結果を示す。 1.システムの構築 レーザ,フィルタ,レンズ,検出器等から構成されるシステムの光学系,本システムの重要な部分である回折格子,ファインステージステージ駆動系の構築,制御系位置制御用ソフトウェアの開発を行い,本システムの試作を行った。 2.理論計算 フレネル、フラウンホーファ回折理論によりシミュレーションを行った。有効格子数を制限し任意に設定することにより,位置決めが可能である。有効格子数200の場合,非常に傾斜の緩い包絡線となり,幅が4mmの範囲で位置決めが可能である。また,出力が位置に対して高感度に変化する領域の利用することにより,高精度が期待できる。 3.基礎実験 (1)システムの格子間隔を数mm以下とすることで,モアレ出力を観察でき,相対位置により出力特性が変化し,正弦波類似特性が確認できた。 (2)2枚の回折格子の間隔を広げていくと徐々に出力の位相が移動した。25μm/pitchの格子を用いた場合,間隔が2mmの周期を持った特性を確認した。 (3)0次光回折モアレ光の出力が最大値を示し,±1次光,±2次光と次数の増加とともに減少する傾向を確認した。出力が最も大きい0次光が制御信号に適している。 (4)有効格子数を制限することで各々の山の頂点を結んでできる包絡線を確認した。シミュレーションと同じ特性を示した。また,有効格子数の増加とともに包絡線の半値幅も広がる特性が確認された。 以上の結果より、位置センサのための基礎特性が得られた。シミュレーションとの整合性が確認できた。格子ピッチ,有効格子数を任意に設定することにより位置決め範囲及び位置検出の精度を制御可能であると考えられる。
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