研究概要 |
平成16年度の研究内容としては(I)柔軟物体をワイヤ駆動させる場合における静力学的形状解析,(II)制御条件の定式化,(III)ワイヤ駆動方式フレキシブルマニピュレータの位置制御と動的解析,(IV)フレキシブルマニピュレータの伸縮を利用した食事支援ロボットの動作生成を行った. 力学解析では,弾性物体の内部エネルギを最小化する方法に基づき,ホースの形状を非線形計画法により計算する方法を用いた.現在,この解析方法では,ワイヤ駆動の影響・外力の影響を考慮していない静的状態での形状計算が可能となっている. 次に制御条件の定式化については,パラレルワイヤ駆動におけるベクトルクロージャーに着目し,制御可能領域におけるワイヤ張力の力学条件を算出する方法を検討した. 柔軟ホースの位置制御では,ワイヤの長さ制御を用いたPTP位置制御を行い,位置決め時の手先誤差の測定を行いモデル化誤差や重力の影響について調査した.また,動的解析では,ワイヤの長さ制御に基づく,簡単なPD制御とCP制御を組み合わせることで,低速動作時における振動抑制を実験により検証した.実験により,柔軟ホース先端に荷重の懸かった振動しやすいシステムにおいても低速動作時であれば,上述したような極めてシンプルな制御で振動を抑制できることを確かめた. 最後に,ワイヤ駆動方式フレキシブルマニピュレータを用いた食事支援ロボットの動作生成では,ワイヤ内力を利用し,マニピュレータの長さを伸縮させることを提案した.また,その動作を積極的に用いることで,食事支援ロボットに応用した際の食事支援動作をスムーズに行わせられることを実験により確かめた.さらに,食事支援ロボットのユーザーフレンドリーなインターフェースとして,PDAを用いた方法と筋電計を利用した方法を検討した.
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