本研究は集積回路製造工程で排出されるCF_4地球温暖化ガスの非平衡プラズマによる分解を衝撃電界の重畳により効率的に行なうことを目的として計算機解析を行なうものである。CF_4はN_2で希釈されて処理されるため、初年度はCF_4/N_2混合気体RF(13.56MHz)プラズマの基礎特性解析を行なった。 1.既存のN_2中電子エネルギー分布解析用ボルツマン方程式プログラムにCF_4の電子衝突断面積データを組み込み、CF_4/N_2混合気体用プログラムとして調整した。 2.科学技術計算用ワークステーション(備品)を購入し、前項1で調整したプログラムによりCF_4/N_2混合気体の混合比を変えつつ混合気体中の電子輸送係数他を計算した。 3.前項2で得た電子輸送係数データを電界強度や平均エネルギーの関数として参照できる関数副プログラムにまとめ、高速参照できるよう調整した。 4.既存のN_2プラズマ解析用流体コードをCF_4/N_2混合気体用に改造し、前項3の関数副プログラムを組み込んだ。計算の高速化を図り、100万RF周期以上の長時間緩和過程を計算できるようにした。 5.CF_4/N_2混合気体プラズマの緩和過程を100万〜200万RF周期計算し、CF_4解離生成種の蓄積過程とCF_4/N_2混合気体プラズマの基本構造を観察した。CF_4の混合比が低くても負イオンプラズマの特徴が観察されることを見出した。 6.CF_4/N_2混合気体プラズマの衝撃電界に対する応答を流体コードで解析した。衝撃電界がプラズマバルクの中にまで到達しすることを確認し、電離と解離のレートが上昇することを観察した。 7.本研究の基本原理と予備的計算結果については「気体放電とその応用に関する国際会議」(GD2004、9/5〜9/10、仏・ツールーズ)で、CF_4/N_2混合気体プラズマの諸特性については年度末の電気学会全国大会(3/17〜3/19、徳島)で発表した。
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