アクリル、テフロン、ガラス、シリコンゴムなどの絶縁板試料にイオンスプレーを照射して帯電させ、その表面電位の減衰の速さと、接触型表面抵抗計で計測した表面抵抗との関係を調べた。 線対金網平板電極系で正極性の直流コロナ放電を起こし、網電極の開口部からすり抜ける正イオンで絶縁板を帯電させた。このとき、網電極にも500V〜2kVの直流電圧を加え、帯電時の表面電位をその電圧に固定することが可能となった。帯電後の絶縁板は、スライドさせて表面電位のプローブの下部に移動させるが、このとき、試料と試料の背後にある接地との間の距離によって表面電位が大きく変化することが確認された。これは、同じ帯電量であっても、試料と接地との間の距離によって表面電位およびその減衰特性が異なることを意味する。そこで、網電極の下部に丸穴を開けた接地電極板を置き、試料表面の近傍で接地電位を固定することを試みた。これにより、試料と試料背後の接地との距離が変化しても、表面電位に変化が現れないことを確認した。これを含めた予備実験により、帯電電位は2kV程度、丸穴付き接地板の孔系は2cm程度が表面電位減衰の計測に適していることを確認した。 上の条件でガラス、アクリル、テフロン試料の表面電位減衰を測定した結果、減衰時間に大きな差が現れた。接触型表面抵抗で測定したこれらの試料の表面抵抗値は10^<11>〜10^<17>の範囲にあり、表面電位の減衰時定数と比例関係にあることを確認した。次年度は、さらに測定精度を高めるために測定データを蓄積するとともに、測定可能範囲を同定し、汚損した絶縁材料の表面抵抗の実測を行う予定である。
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