研究概要 |
超高効率を実現するために,平均出力だけではなく,トルクリップルなどの瞬時出力を平均出力として利用することを提案し,その第一段階として永久磁石同期電動機の磁石形状やスロット形状に依存するトルクリップル波形をオンラインで再現することを目指した。トルクリップル波形がオンラインで再現できれば,トルクリップルのエネルギーを有効利用して平均トルクを向上し,効率を向上することができる。 まず,トルクリップルを制御が施された状態で正確に把握するために,有限要素法と回路,制御シミュレーションを連成した連成解析システムを構築した。構築したシミュレーションシステムにより,例えば制御ゲインを変更した場合のトルクリップルの影響や,インバータによるトルクリップルの影響,鉄損の影響などを把握できる。これらの結果は12月に開催された電気学会回転機研究会で下記題目により発表した。 澤畠,赤津,涌井"永久磁石同期電動機の連成解析によるトルク波形比較"電気学会回転機研究会RM-04-158 上記解析結果から,既存のトルク方程式ではリップルをきちんと表現することができない(特に位相が反転する),電流制御ゲインによってもトルクリップル波形が大きく変化することを明らかにした。 次に上記トルクリップル波形を再現するために,磁気エネルギーの変化に着目したトルク式を提案し,先の結果と比較して位相は完全に一致し,また各高調波成分も概ね一致する結果を得ることができた。提案するトルク式は磁石の無負荷磁束データを必要とするが,電流の大きさや周波数によって影響を受けやすくオフラインデータを使用することが困難なインダクタンスデータは使用していないため,オンラインでのトルクリップル推定に有効である。本結果をまとめて電気学会論文誌に投稿する予定である。 次年度は推定したトルクリップルを有効利用,または削減する制御手法を提案し,実機検証する予定である。
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