研究概要 |
1.本計算に必要な基礎データの収集 はじめに,反応速度定数や電子衝突断面積などの最新情報の調査を行った。本研究で行う流体モデル計算を行うにあたり,放電用ガス下の反応速度定数や電子衝突断面積,熱伝導率などの基礎的データが重要となる。そこで,本年度は,放電用ガスとして,ヘリウム,キセノン,酸素を取り上げ,これらのガスに関する上記データの調査に努めた。その結果,有用な情報に関しては既存のデータを更新もしくは追加を行い,最新データを収集できた。 2.流体モデルシミュレーションに基づく各種放電用ガス中で大気圧放電プラズマの基礎特性の解析 次に,上記データ収集に基づき,本研究で使用する流体モデルに基づく放電シミュレーション用コードを作成した。その上で,ヘリウムガス,キセノンガス,酸素ガス,ヘリウム/酸素混合ガス中での大気圧放電プラズマのシミュレーションをし,その放電基礎特性の解析を行った。その結果,ヘリウムガス大気圧放電の解析結果から,放電形態を決定する上で重要な放電中の電子の振る舞いが本ガスにおいては,電子の平均自由行程が長く,そしてヘリウムガスの熱伝導率の高いことからガス温度の上昇がしにくいなどの理由のため,本ガスにおける大気圧放電での放電形態は低入力電力時において均一な放電になりやすいことを本研究で構築したシミュレーションコードを利用した計算結果から改めて示した。次に,ヘリウム/酸素混合ガス大気圧放電の解析結果から,大気圧の放電条件下において,電気的負性ガスである酸素ガス混入の放電へ及ぼす影響はわずか1%未満の混入で顕著に現れ,この事は放電形態が均一放電もしくはフィラメント状放電への遷移において重要となるであろうことを見出した。
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