研究概要 |
大気圧グロー放電は,1.低ガス圧放電時に必須であった真空装置が必要ないためコストが低く抑えられる,2.低ガス放電と比較して化学的反応性が10万倍〜100万倍も高く迅速な処理が可能である,3.放電電極に対して径方向に均一な放電が生成可能であるため均一な処理を大面積で行う応用に向くといった利点を有することから,半導体製造工程におけるプラズマプロセスなどの産業応用での放電プラズマ技術として期待されている。しかし,本格的に研究が始まったのは,最近10年以内からであり,未だ本放電の基礎過程を含めて不明な点が多い。また,産業応用の現場では,これまでその応用の種類によりガス種が決定され,その上で均一な放電が得られる放電条件の探索がなされており,結果としてその条件の把握が経験的となっている現状がある。上記背景の下,本研究では,産業的応用への本放電最適化に関する情報提供を目的とし,産業的応用への本放電最適化に関する情報提供を目的とし,様々な放電ガス種(He, Ar, N2, O2, CF4)における大気圧グロー放電の流体モデルに基づくシミュレーションモデルを構築し,本ガス中における放電構造を基本とした基礎特性や,種々のガス種における均一放電からフィラメント状放電,ひいてはアーク放電への入力電力の観点からみた遷移条件の調査を行った。以下に得られた結果を要約する。1.放電安定性の観点からいえば,希ガスのみの放電よりもO2やCF4ガスといった負性ガスを混入させた方がアーク放電へ遷移するまでの入力電力範囲が希ガス時と比べて数十%広くなる。2.異なる希ガス種における大気圧放電において,それぞれのエネルギーバランスの仕方が異なる。3.希ガス放電に対し,少量のO2混入で希ガス放電構造に大きく影響を与え,ひいては放電基礎特性へ影響する。
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