研究課題
系統安定化用超伝導エネルギー貯蔵装置(SMES)のためのコイルの形状最適化についての検討を行った。超伝導コイルを安定に運転させるためには、磁界-電流密度特性(B-J特性)などの超伝導特有の性質を考慮し、設計を行わなければならない。その際に、トロイダルコイル等は形状が複雑なことから、数値解析による評価が必要となる。さらに、高価な超伝導導体の使用量を削減するために、最適化アルゴリズムを導入することで、形状最適化設計を行い、その手法を確立した。また、大型コイルになると、コイル内で温度差が生じることもあることから、それらを考慮し、温度異存する磁界-電流密度特性(B-J特性)を考慮することで、実用的な設計手法へと発展させた。さらに、磁場解析に時間を要することから、PCクラスタを使用することで、時間の短縮を試みた。実例として、72MJ蓄積できるトロイダルコイルの最適化設計を行った。そして、構成されるコイルが8個から24個までを最適化設計し、その高温超伝導導体使用量と漏れ磁界などを比較した。その結果、8〜10個では導体使用量も多く、漏れ磁界も大きいが、12個以上では違いがほぼ無く、導体使用量は少なく、漏れ磁界も小さかった。また、同蓄積容量のマルチポールコイルと比較したときに、トロイダルコイルは導体使用量で85%に、漏れ磁界でも大きく低減できており、トロイダルコイルの性能の良さが示せた。このように、磁場解析と最適化アルゴリズムを併用することで、超伝導固有の特性を考慮した上で、超伝導エネルギー貯蔵装置の形状最適化設計を可能にした。
すべて 2005
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IEEE Transactions on Applied Superconductivity 15, 2
ページ: 1927-1930