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本研究の目的は、限流機能を付加した新しい多機能型電力系統制御装置を提案し、実験及びシミュレーションの両面から有効性の検証を行うことである。本年度は、初年度に試作した限流機能を有する制御装置のさらなる多機能化、なかでも電力品質向上に寄与できる制御装置の開発を進めてきた。本年度得られた知見は、次の通りである。
1.詳細な計算機シミュレーションによる多機能型電力系統制御装置の検証:
シミュレーションに基づいて、実用化を視野に入れた場合に取り組むべき課題の洗い出しを行った。例えば、限流時に大電流を扱うインバータに適した制御モードの検討や、変圧器の飽和に対する対策などが課題として挙げられ、次の最終年度に向けてこれらの課題解決に取り組んでいる。
2.電力系統模擬実験装置を用いた多機能型電力系統制御装置の実験的検証:
(1)電力品質向上機能として、高調波抑制機能を備えた制御装置への発展について検討を行い、まずシミュレーション解析によってその効果を確認した。この結果は国際会議において発表を行った。さらに、模擬実験装置を用いた実験による動作検証を行った結果、平常時の高調波補償機能と故障時の限流機能を1台の制御装置によって実現することができた。この実験結果については、国内の学会で発表する予定である。
(2)提案装置の持つ限流機能の活用として、配電システムの柔軟な運用に寄与するループコントローラとしての応用が考えられる。この場合、平常時の付加機能として配電線の潮流制御機能が求められる。そこで、まず計算機シミュレーションによってループコントローラとしての基本機能を検証した結果を国内の研究会で発表し、さらに国際会議へ投稿したところである。
3.国内外での学会発表並びに主要学術誌への論文投稿:
主要な学術誌への論文投稿を行い、これが受理された。
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