研究概要 |
本課題では,数100kHzまでの中間周波数帯における磁界を対象とし,主に家庭で使用されている電磁調理器から発生する磁界暴露に関する基礎研究を行うことを目的としている。電磁調理器から発生する磁界の周波数成分は電源周波数と数10kHzの周波数をもち,それらには高調波成分を持つことが予備実験で分かっている。まず,電磁調理から発生する磁界の実態調査を行うために,上の周波数領域で測定可能な測定装置を試作した。磁界センサの大きさは1cmであり,周波数領域を考慮するとこのような測定器は市販されていない。製作した測定器は平等磁界発生装置によって校正した。従って,測定器から出力される電圧は磁界センサを貫く磁界強度に比例するため,出力電圧を読み取ることで各周波数成分の磁界強度を得ることができる。 次に,電磁調理器(火力調整は最大)から発生する磁界の測定を行った。この結果,磁界強度はエッジ部で最大となり,約2μTであった。ここで,この大きさは,国際放射線防護委員会(ICNIRP)が制定する磁界の参考レベルに対して3分の1程度あることが分かった。さらに磁界強度はエッジからの距離の3乗で反比例して減衰する様子が観測できた。また,鍋の大きさを変えて測定を行った結果,鍋底が小さい場合漏れ磁界が大きくなる傾向があった。 今後,上の測定結果を踏まえて,電磁調理器を使用するヒトの体内に誘導される電流を数値解析により求める。さらに,解析結果とICNIRPの基本制限との比較を行い,曝露評価を行う予定である。
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