研究概要 |
広帯域の磁界測定器を製作し,電磁調理器から発生する磁界の実態調査を行った。その測定結果から,磁界強度は加熱ヒータからの距離の3乗に逆比例することが分かった。これを基に,加熱ヒータの中心に単一の磁気モーメントを置いた場合を仮定したときの磁界計算値(推定値)と測定値がほぼ一致することを見出した。さらに,これはほとんどの据え置き型の電磁調理器について言える。 次に,電磁調理器を使用するヒトを想定し,人体内モデルを用いた体内誘導電流の解析をインピーダンス法により数値解析した。人体モデルは米国のBROOKS研究所が構築した米国人数値モデルと(独)情報通信研究機構らが構築した日本人数値モデルを用いた。両者ともに成人モデルであり,解剖学的に詳細で高分解能な数値モデルである。 数値解析の結果,体内誘導電流は,両モデルともに磁界源に近い腹部において大きくなる傾向があり,頭部や脚部では小さくなった。さらに,筋肉など導電率の大きい組織において誘導電流が大きくなることが分かった。また,電磁調理器から離れるに従い,体内誘導電流は小さくなり,エッジ部から20cm離れると体内誘導電流の最大値は2分の1に減少することが分かった。 この他,ICNIRPガイドラインでは低周波領域における基本制限として,1cm^2あたりの電流密度の平均値と定められているが,この算出方法を提案した。
|