研究課題
本研究では、全反射減衰特性測定配置を利用して有機光電素子における有機層への光吸収を増大させることにより、従来よりも高い効率を有する有機光電変換素子・太陽電池の開発を試みた。まず、プリズム/MgF_2/Ag/銅フタロシアニン/Al/大気の構造において実験を行った。MgF_2はプリズムよりも低屈折率の媒質であり、MgF_2/プリズム界面で光を全反射させた時のエバネッセント波を用い、MgF_2/AgおよびAl/大気の界面でSPを励起できる。実験結果より、SPが励起されている時は、されていない時に比べて5倍以上の光電流が得られることがわかった。また、全反射減衰特性から得られた膜厚と誘電率による計算から、SPが励起されると銅フタロシアニンにおける光吸収が増大し、これに比例して光電流も大きくなることがわかった。さらに、有機層にp形材料であるMEH-PPVと、n形材料であるフラーレンC60を用いた実験も行った。この場合、銅フタロシアニンを単体で使用した場合よりも光電変換効率が極めて大きくなったと共に、さらにSP励起による数倍の効率向上が見られた。このように、SP励起が光電素子の高効率化に大きく寄与し、適当な構造の光電変換素子に適用することで高い変換効率が得られることが明らかとなった。他に、プリズム/Ag/ローダミン色素分散高分子薄膜/大気の構造において、導波モードを利用した有機色素の励起についても調べた。本研究においては、導波モードによってローダミン色素が励起され、それによって生じた蛍光が入射光とは異なる波長で導波モードを励起し、プリズムカップリングによって特定の角度に特定の波長の光が放射されることを見いだした。また、導波モード励起時には色素が強く励起され、プリズムからの放射光も強くなった。以上のような結果は、光電変換素子やセンシングデバイス等への応用に有望と考えられる。
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