200Torr〜760Torrの圧力範囲で大気圧水素プラズマを安定して発生させるための水冷型電極を開発し、それを用いて、約30cm2の面積で、面内一様な大気圧水素プラズマを発生させることに成功した。大気圧水素プラズマからの発光を分光計測した結果、一般的な低圧プラズマで観察される原子状水素からの発光(H_α、H_β、H_γ)は非常に弱く、水素分子の電子遷移に起因する発光が200nm〜400nmにかけて非常に強く観察された。 冷却電極側に原料Siを、基板ヒーター側に基板を設置し、成膜速度の基板温度依存性、プロセス雰囲気圧力依存性、電力依存性を調査した。その結果、原料Siの温度120℃、基板温度400℃、雰囲気圧力400Torrにおいて約300nm/minの成膜速度が得られた。成膜速度の投入電力依存性は、投入電力の増加と共にほぼ線形に成膜速度の増加が観察された。得られたSi膜は、SEM(走査型電子顕微鏡)およびRED(反射電子線回折)による観察の結果、多結晶Siであることが分かった。また得られた多結晶Siのそれぞれの結晶粒は、基板に垂直に柱状成長していることが分かり、膜厚3μmの時、粒径2μmになることが明らかとなった。さらにXRD(X線回折)の結果から、低温ほど(400)配向する傾向が有ることが判明した。最後に、あらかじめB及びSbがドーピングされたシリコン原料を用いて薄膜を形成することにより、薄膜の導電性制御を行った。その結果、本手法によりドーピングガスを用いずとも、Si薄膜の導電性制御が可能であることが明らかとなった。そこで本手法を用いて作製したpn薄膜ダイオードの電流電圧特性を評価したところ、整流作用が得られ、ダイオードの理想因子はn=1.34であった。
|