研究課題
本研究では、超高感度磁気センサーである高温超伝導SQUID(超伝導量子干渉素子)と、ナノサイズの磁性体微粒子をポリマーコーティングした磁気ビーズという2つの最先端技術を組み合わせ、マーカーとしての磁気ビーズを磁気的に検出する方法による超希薄溶液中の定量分析の研究を実施した。超微量分析の基礎研究として、まずSQUID装置による磁性体微粒子検出技術の研究を行った。磁化コイルの配置、静磁場法、変調法及び永久磁石による残留磁化測定など、磁化方法の検討を行った。さらに磁気ビーズの種類、大きさについて検討し、超常磁性体、強磁性体ビーズそれぞれについて最適磁化方法での検出を試みた。その結果、デキストランコートFe_2O_3ビーズ(磁性体直径約10nm)を用いて、1.4T永久磁石による残留磁化測定により、5.8ngの検出限界を達成した。また、ストレプトアビジンを付与した直径2.8μmの磁気ビーズを用いた測定では、5zmolの磁気ビーズを検出した。高速で走行する糸に付着した多種の磁気マーカー試料をSQUIDで連続的に検出するという技術を考案し、糸に付着させた磁性微粒子の定量分析を試みた。開発したSQUIDセンサー及び糸巻取装置で、10m/minまでで高速走行による分析が可能であることを示した。1.4T磁石を用いた残留磁化測定では3桁の範囲で検出信号強度が試料中酸化鉄重量に対して再現良く線形性を示し、分析の定量性を確認した。検出感度をさらに向上させるために、RF-SQUIDマグネトメーターを導入した。従来のDC-SQUIDマグネトメーターに比較してノイズレベルが2桁以上低減するものである。これにより、1.4T永久磁石による残留磁化測定において、デキストランコートFe_2O_3ビーズ(磁性体直径約10nm)40pgの検出限界を達成した。
すべて 2005
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Japanese Journal of Applied Physics Part 1 Vol.44,No.7A
ページ: 4926-4929