研究概要 |
平成17年度において,ストークスパラメータ法を拡張することで,これまで測定が困難であった垂直配向液晶セルにおけるセルパラメータの2次元分布測定に適用することを目的として,本研究で構成したセルパラメータ測定法により実験を行った。以下に本研究で得られた結果について述べる。 (1)配向状態の異なる垂直配向液晶セルを作製し,546,589,633,852nmの波長においてそれぞれ入射角を±10°,±15°,±20°とした場合のセル厚,プレティルト角をそれぞれ算出した。セル厚を求める場合については標準的な測定法であるクリスタルローテーション法により求めたプレティルト角の値を用いて算出した。また,プレティルト角を求める場合には,光干渉法により求めた空セル時のセル厚を既値として算出した。本測定システムを用いて求めたセルパラメータとクリスタルローテーション法及び光干渉法により求めたセルパラメータを比較すると,それぞれほぼ一致する値が得られた。 (2)異なる複数波長(λ=546,589,633nm)のストークスパラメータを用いてセル厚及びプレティルト角の測定を行った結果,ばらつきが小さくなる傾向が見られ,精度の高い測定を行うことができた。 (3)本研究における手法を適用した測定により求めたストークスパラメータと計算により求めた値とのフィッティングから,セル厚及びプレティルト角の同時測定を行った。異なる複数の波長のストークスパラメータを用いて測定を行った結果,セル厚及びプレティルト角をそれぞれ測定した結果と比較するとばらつきがみられたが,クリスタルローテーション法により求めたプレティルト角及び光干渉法により求めたセル厚の値とほぼ同様の結果が得られた。 以上の結果から,ストークスパラメータ法を用いて垂直配向液晶セルの2次元分布のセルパラメータ測定を行うことができた。また,MVA液晶セルにおける突起物等によるセル厚及びプレティルト角の影響を考慮することで,これらの液晶セルにおけるセルパラメータ測定も行うことができた。
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