研究概要 |
フォトニック結晶ファイバ(PCF)は,クラッドに空孔を設けた構造のファイバであり,ファイバ設計の自由度が高く,さまざまな機能性ファイバ実現の可能性があることから,近年,注目を集めている.PCFを機能性ファイバとして用いる際には,通常のシングルモードファイバ(SMF)と接続してモジュール化することが必要である.通常の機能性ファイバモジユールでは,SMFとの接続に融着またはV溝を用いている.しかし,PCFをSMFと接続する際,融着ではファイバ端面の変形による反射損失が大きく,V溝では高強度光を入射したときの接続部破損が懸念される.これらの問題の解消には,PCFとSMFでファイバカプラを形成して接続することでモジュール化する方法が考えられ,低損失かつ機械的強度に優れたPCFモジュールの実現が期待できる. 今年度は,PCFモジュール用のSMF/PCFカプラ開発の準備として,PCFカプラの設計・作製を行った.PCFカプラの設計においては,空孔配置による光結合特性の変化を明らかにした.一方,PCFカプラ作製においては,照射レーザパワーによりカプラテーパ部の空孔の有無が制御できることを明らかにするとともに,光結合が得られることを確認した.さらに,SMF/PCFカプラの試作も行い,光結合が得られることを明らかにした.その結果,SMF/PCFカプラを用いることで,PCFとSMFを低損失で接続できる可能性を示した.
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