研究概要 |
本研究では、プラズマディスプレイ(PDP)の発光効率向上を目的とし、特に放電形状と効率の関係を調べ最適な放電形状を見出すことを目的としている。 本年度は、まず実験に必要な高電圧パルス発生器を作成した。テストPDPは対角4インチのNe-Xe混合ガスを66.7kPaで封入したものを使用した。放電セルは現在主流となっている3電極面放電型構造をしており、大きさは縦0.7mm、横0.3mm程度である。Xeの混合比を3.5,10,20,30,50,70%とし、パルス発生器から出力した矩形波パルスを印加して放電を形成し、顕微鏡に取り付けた高速度CCDカメラを用いて赤外線発光を観測した。このときシャッタースピードは5nsもしくは10nsとした。その結果、Xeの混合比が低い場合、陽極上には縞状の固定した発光パターン、陰極上には移動する弧状の発光パターンが観測された。したがって放電セル全体には発光が広がってはいない。Xe混合比を高くすると、陽極側の縞の本数が増えるが、Xe混合比が30%から縞が消え始め、50%以上では完全に消えることがわかった。一方陰極側の発光は電極全体に広がるようになる。ただし電極間における放電の収縮傾向は強まった。Xe分圧が増すほど発光効率が高くなることが実験的に確かめられていることから、効率向上の要因として陰極電極上に広がったこととが考えられる。また陽極上の発光が消えたことについては、エネルギーが低くなりより紫外線放射に有効な状態となっていることが考えられるが、結論を出すには赤外線発光以外の観測などの実験がさらに必要である。 このほか、対角1.8インチの蛍光体を塗布していない平面放電管において、外側に配置する電極形状や位置を変え放電形状の観測を行ったが、PDPと同様な放電形状は得られなかった。これも来年度引き続き検討する。 以上のように、いまだ平面放電型ランプで得られるような放電空間全体を満たす拡散放電は得られていない。来年度も引き続き封入Xe圧力や駆動条件による放電形状について調べる。これに加えセル構造の変更も含めて行なう。
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