研究課題
私が提案する新しい設計法(以後理想フィールド法と呼ぶ)を用いて導波路を設計すると、その屈折率分布は3次元的に変化する分布となる。そのような複雑な屈折率分布を持つ媒質中を光が伝搬する現象をシミュレートするには、ソフトウェアを新規に開発する必要がある。まず、そのための一連のソフトウェアを開発した。ビーム伝搬法に基づいた数値シミュレーションを行うソフトウェア、複雑な3次元構造を持つ屈折率分布とフィールド分布を同時にグラフ表示するソフトウェアなどをUnix上で開発した。次に、理想フィールド法を用いて「3次元構造を持つ広角Y分岐導波路」の設計を行った。その結果、光を滑らかに2等分するための理想的な屈折率分布の一つを明らかにし、極めてユニークな構造でかつ優れた特性を持つ広角Y分岐の設計に成功した。続いて「3次元構造を持つ4分岐導波路」の設計を行った。4分岐の設計においては、4等分配を実現するのが難しいのであるが、新たなパラメータや評価関数の導入によりその問題を解決し、ユニークな構造でかつ光を4等分配する構造を見いだすことが出来た。理想フィールド法は従来の設計方法とは全く異なったアプローチをとるため、本方法で設計された分岐構造は従来の研究では見られなかった新しい構造であった。従って、理想フィールド法は極めて興味深くかつ優れた光導波路の設計法であると思われる。広角Y分岐に関しては電子情報通信学会に論文を投稿し、採録が決定した。
すべて 2005
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電子情報通信学会論文誌C vol.J88-C, No.6(未定)