先鋭なシリコンナノ構造配列は平面型ディスプレイやマルチ電子線リソグラフィ用の微小電子源として期待されている。本研究は、課題として、(1)如何に構造と特性を均一にするか、(2)長時間の電子放出に対する耐性を如何に獲得するかに的を絞り、この2点の課題を克服できるデバイス構造と作製プロセスを提案し、試作して特性評価を行うものである。以下、2004年度の研究計画の項目ごとに実績を述べる。 (1)イオン注入によるシリコン基板の表面改質と湿式処理による構造形成 Niイオン注入による表面改質と水酸化テトラメチルアンモニウムを用いた湿式エッチング処理によってシリコンナノピラミッド構造を高密度に配列形成するプロセスの条件を確立した。加えて、シリコン先端に選択的にカーボンナノファイバを選択成長させる条件も見出した。カーボンナノファイバの成長位置の低制御性が課題となっている。 (2)3極管構造微小電子源作製と電子放出特性評価 水酸化テトラメチルアンモニウムの特異的な異方性を積極的に利用して3極管構造を自己整合的に作製するプロセスを考案し、放出特性を評価した。20時間の連続放出を確認したが、ゲート酸化膜の耐圧劣化による漏電流増大という新たな課題があることが判明した。また、10000個の高密度エミッタ配列の個々のエミッタからの電子放出を蛍光板に拡大投影して観測できるシステムを新たに構築した。 (3)触媒金属イオン注入サイトから成長するカーボンナノ構造の形態制御 触媒金属としてNiイオンを用いてイオン注入を行った後に、化学気相成長によりカーボンナノチューブを選択成長させた。選択性は確認できたが、更なる高い選択性と高アスペクト化の条件探索を行う必要がある。 以上
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