本研究課題では次世代の大容量・超高速フォトニックネットワークを構築する上で主要技術の1つとなる高繰り返しパルス光源の開発に取り組んでいる。本年度は、これまでに我々が開発してきた10GHz高調波再生モード同期ファイバレーザ技術を基盤として、その繰り返し周波数を40GHzに高速化するためのレーザ共振器の最適設計を行なった。 本レーザは共振器を構成する光ファイバ中の非線形光学効果(自己位相変調効果)と異常分散のバランスにより光ソリトンパルスを生成し、また自己位相変調効果と共振器内の光フィルタ効果により高調波モード同期レーザに固有のスーパモード雑音(強度雑音)を抑制するという特徴を有する。したがって、安定なレーザ発振を実現するためにはレーザを構成する光ファイバの分散値およびファイバ長を最適設計することが重要になる。本研究では、共振器内に挿入する分散シフトファイバの長さおよび分散値をパラメータとしてレーザを構成し、それらパラメータとレーザ出力パルスの安定度との関係を詳細に測定した。その結果、長期的に出力強度が安定な40GHzパルス列を生成するためには、1)短共振器化によりスーパモードの本数を十分に低減させることと、2)長共振器化により十分な自己位相変調効果を得ることとの2つの条件を満たすことが重要であることを明らかにし、その条件を満足する最適な共振器長の範囲を明確にした。また、この最適設計により1535〜1560nmの波長帯域でパルス幅が1.5〜2.0psのトランスフォームリミットかつ高安定な40GHzパルス列を得ることに成功した。
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