| 研究概要 |
本年度は,研究の第2段階として昨年度の研究による理論を発展させ,さらに超広帯域無線のためのMIMO (Multiple Input Multiple Output)通信システムの基礎となるベースバンドMIMO伝送実験用システムを構築して伝送実験を行った。
1.広帯域STBC-MIMO伝送方式の開発
昨年度は送信側でチャネル情報を有する場合のMIMOシステム広帯域通信の簡便な設計法の開発を行った。本年度は,送信側がチャネル情報を有さない場合によく利用される時空間符号化(STBC)伝送方式に対応した,周波数選択性伝搬路におけるタップ付遅延線(TDL)MIMOシステムを提案した。また,TDLの導入による時空間処理に伴う演算量の増大に対応するため,STBCに対応したサブバンド適応アレーを開発した。更にこれらの方法をマルチユーザシステムへと発展させた。また,MIMOの伝送容量解析のための固有解析についても検討を行った。
2.キャリアレス通信システムによるマルチパス環境下における伝送実験
昨年度の電波暗室内における伝送実験に引き続き,マルチパス環境下におけるキャリアレス通信システムによる伝送実験を行った。具体的には新たに反射板を製作して電波暗室内に設置し,Manchester符号化した信号を広帯域アンテナ(ディスコーン型)で送受信して伝播特性を測定した。その結果,ベースバンド伝送においても従来の通信で使われている伝送方式がある程度利用可能であることを明らかにした。今年度導入したバイコニカルアンテナは従来の手作りのものより広帯域で特性も優れているため,来年度はこれを用いて実験を行うことにより,キャリアレスMIMOシステムの基礎理論を完成させる予定である。
|
