研究概要 |
本研究は未開拓領域であるセンサネットの広域,高密度ネットワーク通信を目指し,これを可能とする自律的な通信方式と網構成法を確立することを目的としている.そのために広域分散のマルチホップネットワークを対象として,そのMACレイヤにおけるタイミング同期を明らかにすることを初期の目的とした.タイミング同期のプロトコルとして,まず現在最も一般的なIEEE 802.11系無線LANプロトコルを想定し解析を行った.その結果,まず(1)2つのセルが少数のステーションを介して接続される際に生じるタイミング同期の問題が明らかとなり,さらに(2)複数のセルが空間分布する状況で,タイミング同期が達成不可能となるデッドロックが証明された.この結果は,現実的な条件の下で現在の最も一般的な無線LANプロトコルがそのままではセンサネットを実現することが本質的に困難となることを示すものであり,これを踏まえて,次の段階として新しいタイミング同期のプロトコルを設計する手がかりが得られた.以上の結果,(1),(2)をそれぞれ下記の(a,b,c)にて発表予定であり,国際的な論文誌に投稿を予定している.また上記の解析の副産物として,新しい同期問題の解析方法が得られ,これを下記の研究発表に記載した. (a)太田大輔,田中久陽,長谷川晃朗,デイビス ピーター:"IEEE802.11MACプロトコルによるマルチホップネットワークのタイミング同期(1)〜セルの同期に要する時間の厳密評価〜",電子情報通信学会春期大会,大阪大学,大阪,2005年3月. (b)太田大輔,田中久陽,長谷川晃朗,デイビス ピーター:"マルチホップセンサーネットワークのタイミング同期(1)〜2つのセルの同期に要する時間の厳密評価〜",電子情報通信学会 非線形問題研究会(NLP),(3月25・26日開催,会場:東京大学)(2005-03). (c)田中久陽,毎野裕亮,太田大輔,長谷川晃朗,デイビス ピーター:"マルチホップセンサーネットワークのタイミング同期(2)〜複数セルの同期における空間パターンの形成〜",電子情報通信学会非線形問題研究会(NLP),(3月25・26日開催,会場:東京大学)(2005-03).
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