研究課題
ユーザ認証により不正者によるサービス妨害は防ぎうるが、その一方でサービス提供者によるユーザのプライバシー侵害が発生しうる。こめため、近年、ユーザの匿名性を維持しながらグループへの所属を確認できるグループ署名と呼ばれる認証方法に注目が集まってきており、方式の提案とともにそれを応用したプロトコルの提案も多数行われている。近年のグループ署名は、署名生成・検証の効率がグループのサイズに依存しないため、大規模なグループに対しても効率的なものとなっている。しかし、あるグループメンバーの所属無効化を単純に行おうとした場合、全グループメンバーが証明書の変更を行う必要があり、現実的でない。これまで研究代表者らは、1000人程度の中規模なグループに対して、効率的に所属無効化の行える方式の研究を行ってきた。この方式は中規模グループでは効率的なものの、それ以上の大規模なグループに対しては効率的ではない。そこで本研究では、大規模なグループにおいても所属の無効化を効率的に行えるグループ署名方式の提案を行ない、その方式の評価を行なう。本年度では、署名作成・検証処理の高速化を目標とし、素数情報を利用した無効化可能な方式の提案を行った。本方式では、各メンバーに固有の素数を割り当て、有効なメンバーの素数の積を公開情報とする。グループ署名においては、自分の素数が公開情報を割り切ることをゼロ知識証明する。このゼロ知識証明における関係式はシンプルな積の関係式となるため、従来よりも処理が高速化されている。また、昨年提案した木構造による手法も取り入れ、大規模化も行った。そして、署名作成、検証処理を実装し、PC(Pentium4 3GHz)上で動作時間の検証を行なった。その動作時間は、10万人程度の大規模なグループにおいても、数秒程度であり、大規模グループにおける実用性を確認できた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
IEICE Trans.Fundamentals Vol.E89-A,No.5
ページ: 1275-1283