研究課題
本研究では磁性薄膜へ直接短針を接触させてインピーダンスから比透磁率を計測する測定システムの開発に関するものである。平成16年度ではまず磁性薄膜の比透磁率とインピーダンスとの関係を有限要素法による3次元磁界解析を用いて探針間隔をパラメータとしてデータベース化して導出した。有限要素法解析は現有設備である電磁界解析ソフトウエア(CRCソリューションズ製MAGNA/FIMバージョン8)を使用した。解析の結果もっともSN比が高くなる試料幅は約0.5mm程度であることがわかり、試料幅が増加するほど透磁率の測定感度は悪化することがわかった。この検討は磁性薄膜内部の磁束密度を非線形性の影響を受けない範囲でなるべく大きく通電させるために必要なものである。さらにウエハプローブ、微細短針、ネットワークアナライザ、最適化処理ソフトウエアから構成される直接通電による磁性薄膜透磁率測定システムを試作した。ウエハプローブにより同軸ケーブル先端に配置された探針の動きを制御して、所望の位置に磁性薄膜上にコンタクトし、ネットワークアナライザにより透過・反射パワーなどのSパラメータ測定を行った。得られたSパラメータから上記で得られた透磁率とインピーダンスとの関係式に基づき、最適化処理により磁性薄膜の局所的な複素透磁率を求めてパーソナルコンピュータ上に表示させるシステムを開発した。平成17年度は試作したシステムのデバッグを行い、様々な磁性薄膜の透磁率評価実験を進める予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, Elsevier (印刷中)
日本応用磁気学会誌 29(印刷中)