研究概要 |
1.高精度GPS時刻発生装置を装荷した雷放電放射電界観測システムを秋田県内3観測地点に構築し,運用を開始した。本システムは,順調に動作し無人観測が継続して行われている。 2.モデル信号について自然観測法理論によるディジタル信号解析法を用い,1)原波形から決定,2)従来の周波数解析を用いて決定,3)自然観測法理論を用いて決定の3つの方法について検討を行った。その結果,本提案法の決定精度が良いことを明らかにした。 3.落雷位置決定を行う場合に問題となる雲放電による信号の除去について,自然観測法理論による瞬時解析を用いて検討を行った。結果として,本手法を用いることで90%以上の雲放電を識別できることを明らかにした。 4.新しい到達時間決定法として,自然観測法理論を用いた屈折点を利用する方法を提案し,モデル信号に対してその精度の検討を行った。自然観測法理論を用いることで,雑音中のパルスの屈折点を精度よく検出できることを明らかにした。 5.数値解析によって,伝搬電磁波について大地の影響を検討し,ピーク時間への効果を報告した。大地の影響により,観測地点間の距離にしたがって誤差が発生することがわかった。ただし,その効果は,本研究で用いている観測地点間ではそれほど問題とはならないこともわかった。 6.本システムによって観測された落雷放射電磁波のうち,電離層反射波と自然観測法理論を組み合わせた落雷発生地点までの距離及び電離層の高度の決定法を検討し,自然観測法理論を用いることで,観測された生のデータを用いるよりもばらつきの少ない決定法となることを明らかにした。
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