研究課題
マイクロタクタイルセンサ(MTS)の技術を応用し、以下の手順で免疫組織学的手法に用いる薄組織切片の弾性率分布計測に適した走査型顕微鏡を開発した。(1)プローブにはMTSを改良して用いた。有限要素法を用いたセンサの振動モード解析及び周波数解析から、弾性を計測する縦振動に加えて接触により消失する程度振幅の横振動を含むようにMTSをデザインし、非線形応答を得て弾性計測に加えた接触検知を実現した。(2)先端径20μmのMTSを用いた条件下において、5μm進入時に必要な薄膜厚みは等量の5μmであり、MTSを用いた弾性測定には従来応力歪み法を用いた際の試料の「厚みは進入量の10倍必要である」という制約を大きく改善した。(3)従来専門知識に基づく微調整が必要であったMTSを駆動するための位相シフト回路の調整を、PLL技術を応用したデジタル自動チューニング装置を開発(協力:有限会社マイコンロジック・福島県郡山市)することで専門知識を必要とせず容易に実現可能とした。(4)MTSの走査には、100nmの実測分解能を持つステッピングパルスモーター2機を各軸に持つ粗動XYZ軸と、8nm実測分解能を持つボール軸受けねじ回転拘束方式ステッピングパルスモーターによる微動Z軸を加えた走査システムを開発し(協力:有限会社ピーアンドエム・福島県会津若松市)用いた。(5)組織を生理的条件に維持したままに計測するための特殊なチャンバーを開発した。組織が水溶液に浸った状態では高感度の計測が実現できないため、スライス切片をメンブレン上に半浸法させ、センサが接触する表面にはポリ-L-リシン薄膜(約100nm)をはり水分の蒸発を防ぐと共にセンサの物理的接触条件を一定とした。(6)開発したシステムを用いて組織切片の表面形状及び弾性率分布(ヤング率)測定の有用性を確認した。
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Sensors and Actuators, A : Physical (In press)
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