研究概要 |
本年度は,実験プラットホームの整備を重点的に行った.まず,本助成を受ける以前から所有していた電動車いす実験装置の改造に着手した.この実験装置に搭載された2個の動力用DCモータには回転情報検出のために分解能250PPRのエンコーダが取り付けられており,制御に必要なモータの回転速度情報はカウンタボードを通じて得られる角度情報を差分することで得ていたが,そのため速度信号が非常に振動的になり,制御に悪影響を与えるだけでなく,搭乗する被験者に高周波数の振動を加えることになり,操作者の制御特性の同定に重大な悪影響を与える可能性があるため改善する必要があった.そこで今回,モータ改造を行い,回転速度検出にタコジェネレータを採用することとし,既存の計測制御装置との接続性を考慮して信号レベル変換機を介して制御用コンピュータに速度信号を取り込み可能となるよう配慮した.現在この設計依頼を外部業者に委託しているところであり,次年度当初には装置装着が完了する計画となっている.また,これまで前記実験装置ではノートPCにDOSをインストールし割り込みベースでサンプリング周期を管理する手法を取っていたが,今回これをリアルタイムOSであるRtLinuxベースのシステムへ変更するため,実験用ノートPCの導入を行った.更には次年度行う実験で得られる実験結果を処理するためのプラットホームとして,新たにPCと関連ソフトウェアであるMATLAB(制御系CAD)およびFLEXPRO(信号処理・解析ソフトウェア)を導入して,データ解析の準備を整えた. 次年度はこれらの準備を基にして電動車いすの走行実験を行い,その際のデータを解析することで,環境変数の影響を用に含んだ操作特性モデルの構築について検討を進める予定である.
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