研究概要 |
本研究では,研究代表者が考案した室内反射音のアクティブな抑圧手法を,多チャネルの音信号入出力機能を備えた高速コンピュータを用いて開発することを大きな目的とする.考案した手法の実際の室内音場への適用に際しては,室内の音響伝達系の変化や実時間性を考慮したシステムの設計を行い,開発したシステムを実際の室内空間に設置した上で反射音の抑圧性能を評価し,有効性を検証する. 平成16年度は,研究代表者が提案したKirchhoff-Helmholtzの境界積分方程式に基づく反射音抑圧手法について,実音場への適用を試みた.高速CPUを4個塔載したパソコンを本補助金で購入し,音信号入出力ボードから入力された音信号をリアルタイムでフィルタリングするプログラムの製作を行った.その結果,通常のOSで利用する際には,起動時のレイテンシーが問題となることが判明した.そのため,リアルタイムでの制御ではなく,制御フィルタを固定としたシステムで制御を試みた.その結果,所望の制御がある程度達成されていることが確認された.このことについて,本質的な研究発表は行えていないが,頭部周りの音場の数値計算を通じて,本システムの演算性能の検証および向上のためのシステムのチューニングを行っている. 平成17年度以降は,このシステムのリアルタイム性を確保するための方策を,OSなどのアーキテクチャと,制御システムの設計の両面から検討する.比較的条件が単純な半無響室(床面だけが剛壁でそれ以外の壁面は無反射の室内)において,床面からの反射音の抑圧をリアルタイムで行う系を開発し,その効果と限界を明らかにする所存である.
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