研究概要 |
現在稼動中のプラントの多くは何らかの制御動作が加えられている.その場合,対象は信号のフィードバック構造を持つ閉ループ系と考えられる.従来の閉ループ同定法では,開ループ同定の手法をそのまま閉ループ系から得られるデータに適用したいわゆる直接法と,まず感度などの閉ループ特性を推定してから次に同定対象の推定を行ういわゆる間接法とに分類できる.直接法では推定値のバイアス誤差の問題があり,間接法はバイアス誤差の問題を回避できるがそのオンライン化が困難であった. 平成16年度では,まず,閉ループ系から得られたデータから閉ループ内に接続されたサブシステムの動特性を推定できる部分空間同定法を開発した.提案する同定法はオンライン化を視野に入れており,サンプルされる入出力データから直接所望のパラメータを推定できる.しかし,提案手法は本質的に間接法の一つとして知られるTwo-stage法に基づいておりバイアス誤差の問題を克服している.上記結果をThe 43^<rd> IEEE Conference on Decision and Controlにて口頭発表した.次に,前述の閉ループ部分空間同定法の逐次アルゴリズムを開発した.これにより,計算量の大幅な軽減が可能になった.つまり,データ長をMとしたとき,バッチ同定での計算量がMの2乗のオーダーであったのが,逐次化によってMのオーダーに軽減された.また,提案する逐次アルゴリズムはオンライン同定に適用可能な更新則となっでいる.つまり,時々刻々オンラインでサンプルされるデータだけを使って項の更新が行われ,過去に遡ってデータをストックしておく必要が無い.上記結果は現在The 44^<th> IEEE Conference on Decision and Control and Europe an Control Conference ECC 2005に投稿中である.
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