研究概要 |
本研究では,画像処理を応用し,脆性材料に生じる不連続現象を精緻に把握するための計測・解析システムの構築を目的とする.具体的には,コンクリート構造におけるひび割れを対象とし,1)複数台の高精度CCDカメラを用い,多面的なひび割れ現象を長時間計測可能な計測システムを構築する,2)得られた時系列画像からひび割れの発生・進展を検出するための画像解析手法を提案する,3)従来得ることが困難であったひび割れの幅,方向,分岐点などの定量的な特徴量を抽出するための解析手法についても併せて提示する,4)画像解析から得られたひび割れの特徴量を数値解析結果と統合することで内部ひび割れを推定するための手法を構築する,の手順で実施する. 平成16年度については,主に上記の1),2)について実施した.上記1)においては,400万画素の空間解像度,16fpsの時間解像度を持つ,高性能CCDカメラを用いて画像計測システムを構築した.本カメラで得られる画像は,RAIDシステムに連結されており,膨大な画像データをオンラインで長時間記録することが可能となった. 上記2)については,まず,静止画像から,ひび割れを抽出するためのフィルタを自動探索・生成する直列フィルタを構築した.直列フィルタにより生成された処理システムにより明確なひび割れを検出することが可能となったものの,局所的かつ微細なひび割れを検出することが困難であった.そこで,微細なひび割れの検出を目的としてウエーブレット変換を適用した.特に,ここではGaborウエーブレット変換を改良し,ひび割れの方向をパラメータとして最適化手法と組み合わせ,微細なひび割れの検出を試みた.本手法により微細なひび割れを検出することが可能となり,かつひび割れの方向も同定できた.一方で,ひび割れ以外の箇所も検出してしまうことから,今後は時間方向の情報を用い,検出後の結果を分類していくことを考えている.
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