研究概要 |
本研究の目的は,自動車の高速交通が生むエネルギーを回収して高速道路施設の電力へ循環させ,電力負荷軽減に役立てることである.本年度においては,まず,昨年度試作した自動車励起ガストエネルギー発電体の応答予測手法を考案し,これを定式化した.本手法はウェーブレットを用いたガスト応答時刻歴解析法の一種であり,自動車励起ガストのように風速変動に非定常性が含まれる場合でも応答を推定可能な手法となっている.なお,本手法に組み込む空力アドミッタンスは,気流に変動を与えることが可能な風洞を用いた実験により得た複素応答振幅と構造伝達関数,および複素変動外力の比をとることにより導出した.このアドミッタンスは振幅依存性がみられたが,これについてはさらなる検討と再チューニングを要する.さらに,この手法に屋外実験で得られた自動車励起ガストの時刻歴を適用し,本発電体の応答シミュレーションを試みた.屋外において本発電体の前方を自動車を高速で走行させて,自動車励起ガストの風速変動と本発電体の応答波形とを同時に計測しており,これらの屋外実験データと本手法による応答波形とを比較した.その結果,本シミュレーション手法による応答波形は概ね屋外実験と整合した.自動車が本発電体の前方を通過した瞬間に本発電体の応答振幅は最大となるが,シミュレーションにおいては正の応答変位は良い一致を示したが,負の応答変位がやや小さくなる結果となった.これには空力アドミッタンスの振幅依存性が関与していると思われる.
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