研究概要 |
本研究では表層30mの平均S波速度Vs30,地盤の卓越周期Tg,表層の厚さH,構造物の固有周期Tsを常時微動から推定し,これらの情報を利用した構造物の危険度評価システムを構築している.このシステムは(a)入力地震動評価システム,(b)構造物の損傷度評価システム,という2つの評価システムを統合した構造物の危険度を評価するシステムである. (a)入力地震動評価システム(Aシステム) 本研究では,スペクトル適合波法を用いてレベル2地震動を作成している.目標応答スペクトルは,表層厚H,表層の平均S波速度AVSで地盤の非線形性を考慮した伝達関数を評価し,これに開放工学基盤における加速度応答スペクトルを乗じることにより求める.ここで,伝達関数はH, AVSに応じた地盤分類毎に用意する.H, AVSは微動から得られるTg, Vs30を用いて, H=Vs30・Tg/4(1),AVS=Vs30(2) により求める.以上から求まる地震波形をサイト波と呼ぶことにする. (b)構造物の損傷度評価システム(Bシステム) BシステムはAシステムより作成したサイト波を1自由度系モデルに入力し,非線形解析を行い,最大塑性率μを出力するシステムである.μをランク分けし構造物の危険度を評価する.構造物の固有周期Tsと最大塑性率μの関係を,降伏震度Khyをパラメーターとして表した図を用意し,微動から得られる構造物の固有周期Tsにおけるμをこの図から読み取り,塑性率を構造物損傷度との関係表に照らし合わせることにより構造物の危険度が評価することができる.
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