研究概要 |
鋼プレートガーダー橋の横桁取り付け部など部材が交差する部分において疲労き裂の発生が問題となっている.これらの疲労き裂は検出されたとしても,火急の対策を必要とするものばかりではなく,進展挙動を定期的に監視するだけでよいものもある.しかしながら,1つの橋梁において,検査すべき箇所は多数存在し,監視員の目視に頼るだけでは効率的な検査を行うことは困難である. 平成16年度は長さ4メートルほどの桁を用いた実験を行った.はじめに,垂直補剛材があることにより,波形がどのように変化するかを調べた.垂直補剛材を見立てた鋼板を溶接する前と溶接したあとの波形の変化を調べた.また,微小なき裂を模擬した穴を桁に開け波形の変化を検出できるか検討した.さらに,補剛材近辺にも穴を開け,補剛材が存在した場合にも穴を検出できるか検討した.実際の疲労き裂は穴とは異なるので,数値シミュレーションによっても波形の変化を検出できるか検討した. 波動伝播解析において,残留応力の影響を調べることを念頭に入れ,残留応力の数値解析も行った.溶接過程において発生する相として,パーライト,オーステナイト,液相,マルソテンサイトを考慮した.ヤング率など材料特性の温度依存性の他に,相変化に伴う潜熱や体積変化も考慮できるモデルとした. 今後は疲労試験を行うことや,多チャンネルで波形をとること,板波だけではなく,表面波などの異なった種類の波動の利用の検討,および波動伝播の数値解析を行うことを検討している.
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