研究概要 |
まず,平板列を対象として低騒音風洞を用いた空力音の測定を行った.一定の範囲の迎角で高風速時に空力音が発生したが,発生周波数や音圧レベルについては,平板列の形状や枚数,風速によって異なった傾向を示した.平板列の枚数については6〜7枚以上の時に空力音が発生した.また,上流側前縁部にカバーをつけ断面形状をわずかに変化させることで,空力音の特性が大きく変化し,前縁部が発生メカニズムに重要であることが示唆された.模型の風速が増加するにしたがい,階段状に空力音の周波数が増加していくことが確認され,そのまま風速を上げると,空力音の発生がいったん止まったのち,再度,空力音が発生するような特性を持つことが分かった.さらに,平板列まわりの風速分布の測定を行い,前縁下流側で大きな風速変動が生じていること,隣接平板前縁部への再付着は見られないこと等が分かった.2つのマイクロホンによる空間相関を用いた平板列内の音響モードの測定では,下流側では平板間で交互に音圧の正負が入れ替わる明確な音響モードを示すのに対して,上流側は,そのような明確な音響モードが現れないことが分かった. 次に,半球ドーム型の圧力模型を製作し風洞実験を行い,模型の表面変動圧力の測定と空力音の測定を行った.この中で,従来の変動圧力のチューブ補正の検討を行ったが,本研究が対象とする空力音の周波数範囲では補正が難しいことが確認された.そこで,圧力測定器のセンサー部とアンプ部を分離させて,チューブによる位相変化の影響を受けないシステムの検討,構築を行い,その性能の検証を行った.
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