研究概要 |
平成16年度は,主に,解析プログラムの開発を行った.均質化理論に基づく粒状体マルチスケール解析法のミクロ問題を3次元に拡張した.マクロ解析は平面ひずみ問題を仮定した有限要素法を用い,ミクロ解析には3次元粒状要素法を用いている.まず,解析手法の定式化を行い,プログラムを開発した.開発したプログラムの性能を評価するための数値解析を行い,実験結果などとの比較によりその有用性を検討した.その結果,十分に実現象を再現でき,粒状材料の巨視的な力学応答を評価するのに有効な手法であることがわかった. 本研究の主たる目的は,粒状材料のマクロ構成関係をマルチスケール解析により評価・推定することである.本年度は,マルチスケール解析の3次元ミクロ解析を用いて,流動則・降伏面・破壊基準について数値実験を行い若干の考察を行った.流動則については,p-q面内においては古典的塑性論で仮定されている非関連流動則がほぼ成立するが,π平面においては塑性ひずみ増分方向が一定では無く流動則の仮定が成り立たないことがわかった.π平面内においては塑性ひずみ増分の増分非線形性が非常に強く表れる.また,降伏面に関してはp-q面内において角点が存在する可能性が高いことが数値実験の結果からわかった.破壊基準面については,従来の塑性理論で仮定されている形状にかなり近い形状になった.さらに,応力主軸回転時の粒状材料の変形特性についても検討した.
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