研究概要 |
本年度は,昨年度研究補助金により購入した電動振動台を用いて,砂質土地盤の液状化実験を行い,噴砂と液状化層厚との関係について調べた. 試料としては,液状化層として豊浦砂,液状化層上部にある低透水性層として珪砂を用いた.40.8cm×30.9cm×21.4cmの市販のプラスチック容器を土層として用い,水を入れた後に豊浦砂を静かに投入し,その後珪砂を堆積させ地表面と水面を一致させる.実験条件としては,豊浦砂層と珪砂層の層厚を変えている.なお,振動条件は全て同じとした. 実験により,液状化層厚と低透水性層厚の層厚比(以下,層厚比)と単位面積当たりの噴砂個数や噴砂面積に相関があることが分かった.層厚比が大きい場合,噴砂個数と噴砂面積は減少し,層厚比が小さい場合,噴砂個数と噴砂面積が増加することが分かった.この結果から,低透水性層の層厚と噴砂面積や個数が分かれば,液状化層厚が推定できる可能性がある. 著者らは2003年宮城県北部で発生した地震の際に,鳴瀬町浜市地区の休耕田で発生した噴砂の状況を調べている.そこで,上記の実験結果を用いて実際の液状化地盤の液状化層厚を求めることを試みた.その結果,概ね実際の液状化層厚と一致した結果が得られた. また,本実験では液状化層が完全に液状化したと仮定して,噴砂継続時間や液状化層厚,排水量計測実験から求めた排水量により,液状化中の豊浦砂の透水係数を求めた.その結果,液状化層厚が少ない場合,概ね定水位透水試験結果と一致した結果が得られた.しかし,液状化層厚が大きくなると,定水位透水試験結果よりも大きな透水係数となった.これは,液状化により砂粒子の落下と上方への水の流れにより相対的に間隙水の流れが速くなることと,間隙が大きくなるとともに砂粒子の落下距離が大きくなり間隙水の流れが速い領域が増加するためと思われる.
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