研究概要 |
ケーソン護岸およびケーソン防波堤連結目地内での流体共振の発生条件とその発生規模に関して,本年度は,規則波を用いた実験によりこれらの体系化を行った.さらに,大型浮体を構成する浮体要素間の微小間隙内における流体共振の発生条件に関する理論解の誘導に成功した.以上の研究成果は次のようにまとめられる。 (1)ケーソン護岸連結目地内での流体共振の発生条件とその発生規模 ケーソン護岸連結目地内において流体共振現象が発生することを実験的に確認し,目地内の最大波高が入射波高の5倍を上回る場合を流体共振の発生条件とした場合,本研究で対象とした実験範囲(形状比a/L<0.039,a:連結目地幅,L:ケーソン岸沖方向長さ)において,1次モードの流体共振がkL=1.1〜2.0(k:入射波の波数)の場合,さらに,2次モード流体共振がkL=4.1〜4.8の場合に発生することが分かった. (2)ケーソン防波堤連結目地内での流体共振の発生条件とその発生規模 ケーソン防波堤連結目地内において流体共振現象が発生することを実験的に確認し,目地内の最大波高が入射波高の4倍を上回る場合を流体共振の発生条件とした場合,本研究で対象とした実験範囲(形状比a/L<0.039,a:連結目地幅,L:ケーソン岸沖方向長さ)において,1次モードの流体共振がkL=2.5〜3.5の場合に発生することが分かった. (3)大型浮体を構成する浮体要素間の微小間隙内における流体共振の発生条件に関する理論解 2つの矩形浮体要素から構成された1の間隙を伴う浮体の場合を対象とし,管径が非一様なU字管内の流体振動の解析法を応用して,間隙内流体振動に関する固有振動数を,矩形浮体長さ,喫水深および間隙幅を陽に含む形で新たに誘導した.実験結果との比較から,誘導した固有振動数を用いて,間隙内での流体共振の発生がおおよそ予測できることが分かった.
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