研究概要 |
本研究は,強風・高波浪の来襲する荒天時を対象として,従来蓄積された観測結果に基づいた流動場および地形変化モデルの構築を進めるとともに,モデルの検証ならびに実現証の解析に寄与する現地データの収集および時空間的な密度の不足を補うための観測も並行して実施しようとするものである.平成16年度には,流動場と外力に関するデータの解析および海上風・波浪場の相互作用のモデル化を中心に行うとともに,従来続けている現地観測データの収集およびその整理を継続的に実施した.これまでの現地観測結果より明らかとなってきた荒天時における流動場,特に沿岸方向に発達する強い流れを考慮した流動場のモデル,およびその流動場の影響を取り入れた地形変化モデルの構築を行い,構築されたモデルの概要については,2004年9月にポルトガル・リスボンで開催された国際海岸工学会議(ICCE2004)にて報告を行った.このモデルは,長期間の地形変化のシミュレーションを対象としているため,流動場および地形変化モデルともに,モデルの簡素化が図られている.しかしながら現状では,荒天時の影響は取り込めている一方で,現地で観測された現象,特に長期間にわたる海岸地形の浸食のプロセスを十二分に表現する段階にはいたっておらず,平成17年度に各計算モジュールの簡素化を保ちつつ,より実現象を精度良く表現できるように改良を行う予定である,モデル改良においては,平成16年度に設備備品として導入されたハイパフォーマンスコンピュータ(HIT製)およびFortranコンパイラによる開発環境により,引き続き効率的なモデル構築が実施できる環境が整備されている.
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