1.観測測器の設置とデータ回収 パラオ共和国のハトホベイ(トビ)島(北緯3度東経131度)とソンソロール島(北緯5度東経132度)へ行き、昨年度設置した雨量計の観測を確認し、観測データを回収した。両島の間にあるプルアナ島(北緯4度東経131度)に新たに雨量計を設置し、観測を開始させた。現地政府機関と観測所の用地借用交渉を行なった。 2.本観測データを用いた解析 パラオ共和国内には3ヶ所の本観測データに加えて既存の海洋研究開発機構が設置したペリリュー観測所、NOAA(アメリカ海洋大気庁)のコロール観測所の降水量データを用いて解析を行なった。モンスーンに合わせて降水量が最大となる時期が南側で6月、北側で7月と南北で異なることが明らかになった。11月以降ラニーニャがはっきりと現れ、その影響によりパラオ全体で降水量が増加していた。 3.過去の観測データの収集 パラオ共和国で過去に行なわれた観測データを広く収集した。NOAAによる観測が7ヶ所、海洋研究開発機構による観測が2ヶ所、戦前の旧南洋庁による観測が7ヶ所で行なわれており、一部は現在も継続的に観測が行なわれていることがわかった。 4.過去のデータを用いた解析 ハトホベイ島では1939年-1941年の観測データがあり、2005年の本観測と比較した。いずれも6月に降水量の最大が現れることが明らかとなった。また過去のデータから南北風の季節変化が顕著に現れていた。これはQuikSCATの衛星の広域の地上風データの解析によって、海洋大陸域を吹き抜けるモンスーンに伴う風の季節変化を表していることがわかった。
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