本研究は、地方都市の生活交通手段として、「サポート交通システム」を提案した。これは、自家用車を持っている人が持っていない人を送迎してあげることをNPO等の組織が予約の手配等をマネジメントしようというものである。過疎地域の公共交通の維持が困難であるところで導入されるべきものとして位置づけている。このサポート交通システムの導入に当たり、検討プロセスを構築した。つまり、現状の路線バスあるいはタクシーで対応すべき地域であるのか、それとも、サポート交通システムにより住民間でお互いに助け合うべきなのかを判断するためのプロセスである。既存の公共交通、デマンド型公共交通、サポート交通システムの導入可能性について、利用者の立場から3段階で評価するプロセスを構築した。具体的には、既存の公共交通は、「即時性:住民が移動したい時間に運行しているか」、「運賃:利用者の受け入れる範囲内か」、「アクセス距離:歩いて移動しなければならない距離が一定の基準内か」の3点から評価し、すべての項目で基準を満たす地域は既存の公共交通を活かすものとする。既存の公共交通では対応できない地域は、第2段階としてデマンド型公共交通の導入を検討する。ここではデマンドバスと乗合タクシーを取り上げた。どちらを導入すべきかはAHPにより、既存の公共交通で評価した3項目を評価要因として重み付けにより評価した。デマンド型公共交通が導入できない地域は、第3段階としてサポート交通システムの導入を検討する。住民の参加意識から、送ってあげる人の人数で送ってもらう人のニーズに対応できるかどうかで成立の可否を判断した。 北海道士別市を対象地域として、市内郊外部3地域において意識調査を行い、上述のプロセスにより分析を行い、そのアウトプットとして、モビリティマップを作成した。
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