研究概要 |
画像の濃淡値のみを用いる方法を基礎手法とし,異分解能画像マッチングへの拡張を行った.大きく空間分解能が異なる場合には,事前に分解能の変換が必要となる.本研究においては,分解能の変換のための,画像の低分解能化,高分解能化の手法を整理し,適用可能性の評価を行った.高分解能化手法を適用した結果,画質の改善には寄与するものの,マッチングのための有効性には限界があることを確認した. 一般に,異なる分解能の画像を対象とする場合,分解能のみの対応では不十分である.なぜならば,撮影時期や時刻,センサの感度特性,階調,カメラの角度等,実に多様な条件の相違が問題となるためである.このような両画像の特性の違いは,ピクセルの濃淡値に基づく手法にとって,大きな障害となる.それらの問題に対処するため,いくつかの対策を講じた.まず,テンプレート形状の変更である.従来のテンプレートマッチングでは,テンプレートの形状は正方形等が多かったが,テンプレート形状を任意とすることにより,結果に大きな影響を及ぼす影や樹木などの領域をあらかじめ除去することが可能となった.また,ロバスト推定を導入し,マッチング精度の向上を図った.これにより,これまでは全くマッチングが不可能であった地上基準点に対しても,高精度にマッチングを行うことが可能となった. 提案手法を,メルボルンテストフィールドのオルソ空中写真とIKONOS画像に適用した.さらに,マッチング結果からIKONOS画像の単写真標定を行い,その標定精度を検証した.その結果,任意テンプレートやロバスト推定といった対策が,条件を整えれば異分解能画像を対象とするマッチングに有効であることを示した.また,マニュアルによるマッチング結果と比較し,提案手法により精度向上が達成されることを確認した.以上の適用を通して,異分解能画像を対象とした提案手法の写真測量への適用可能性を示唆した.
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