研究概要 |
昨年度調査票の設計を行ったCVM調査の予備調査を実施して森林の便益を計測すると共に当該地域における水源税の導入可能性を探った.まず昨年度設計した調査票を用いて鳥取県米子市に住む住民を対象としたCVM調査の予備調査を面接方式により行い,日野川上流の日南町町有林に対する支払意思額の計測のための基礎資料を獲得した.一方,同時に日野川流域上流域にあたる地域に置いても同様の調査を行い,両者の回答を比較することを通じて両者の意識の違い,ならびに支払い意思の大きさに影響する要因について検討した.このCVM調査の結果は森林の資産価値評価の算出根拠となるものである.さらに,次年度以降の本調査の実施及びデータの入力及び解析に関する検討を行った.さらに調査結果に基づいた森林の資産価値を用いて水源税の導入可能性を探った. 本研究では,同様の調査を複数回実施し,コモンズとしての流域森林に対する共通認識を形成する過程を見ることを目指す.そのため,次年度以降行う複数回の調査に関する調査方法の開発と,支払意思額の収束過程を説明する理論モデルの構築を行った.具体的には,planning theoryの知見を援用することにより各主体が意見を合理的に変更する過程を説明するモデルを作成した.最終的には次年度において,コミットメント価値を将来の行動も含めた個人間の効用の長期的な相互作用を用いた動学モデルに基づいて理論的に定式化することを試みる.
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