都市公共交通(鉄道・バス等)では、磁気式やICカード式の乗車カード(プリペイドカード/定期券等)が普及しつつある。本研究は、都市公共交通の乗車記録データを、集計的な分析にとどまらず、行動軌跡データとして有効に扱うための手法を開発するものである。分析には、マーケティング等に用いられつつある「データマイニング手法」(大量のデータから、データサンプルの特性や傾向を発見していく手法)を用いる。今年度は、カードデータを都市交通計画等に活用するためのデータベースの構築および問題点整理を行った。 (1)公共交通の共通カード等の導入状況およびデータ活用に関する調査<データ収集の準備> 我が国の各都市における「共通プリペイドカード等」の導入状況やデータ活用状況について資料収集を行い、その調査に基づき、分析対象都市として、広島都市圏を選定した。そして、カードデータを入手し、データの有効性について基礎分析を行った。 (2)データ利用に際しての基礎分析(データクレンジングおよびデータベース構築) 元々カードシステムは運賃収入管理および事業者間精算を目的としたものなので、それを利用者の行動軌跡データとして活用するための課題整理を行った。その上で、欠損データの扱いや、カード番号照合による個々の利用者の乗車データ結合方法の検討など、データセットを分析可能とするための「洗浄」(クレンジング)を行った。また、分析手法にあわせたデータ記録フォーマットの検討を行いデータベースを構築した。
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