本研究では、市街地の密集度評価を対象として、高空間分解能衛星データの応用アルゴリズムの開発を試みた。具体的には次の2点のアプローチを実施した。 1.高空間分解能衛星データを適用した植生分布の分析方法の検討 市街地の密集度を分析するには、建物そのものの密集状態や街路パターンなどに加えてオープンスペースを考慮する必要があり、特に防災面・住環境面・自然環境面などでの重要性から植物の分布状態を分析していくことが望まれている。そこで本研究では、高空間分解能衛星データから得られた植生指標(NDVI)を植生被覆量を代表するデータとして位置づけ、市街地内での植生分布の連続性を分析する方法を開発した。 (1)空間的自己相関分析の適用可能性 NDVIを対象として空間的自己相関分析を適用し、その効果を検証した。その結果、相関分析を実施する範囲を変動させることによって、植生分布の連続性がさまざまな空間スケールで分析・可能であることを確認した。 (2)空間的自己相関分析の応用 空間的自己相関分析を応用した植生分布の連続性に関する空間スケールの分析方法を開発した。開発手法の適用によって、従来は見落とされていた市町村界付近での連続した植生分布を見出すことが可能となった。 2.街区に着目した密集市街地の分析方法の検討 詳細な密集市街地の分析方法として、街区に着目した分析方法を開発した。具体的には、街区の内側と外側の情報に区分した上で、内側については街区面積を敷地面積としたグロス建ぺい率を、外側については街区間の平均距離を算出した街区間平均距離をそれぞれ定義し、ともに採用することによって市街地の密集度を広域的に分析する手法を提案している。
|