本年度は、まず最初に、千葉大学西千葉キャンパス近傍において比較的大型車交通の多い平面道路に面する戸建て住宅や事務所ビルを探し、その中から、シミュレーションの際に必要な構造図面の入手や複数回に渡る交通振動計測をお願いできる事務所ビルを1棟抽出した。 計測は2度に渡って行い、建物前面の平面道路の路肩、地盤(手前・中央・奥)(2度の計測で、地盤測線は、建物のすぐ脇の測線と建物から10m程度離れた測線との違いがある)、建物基礎(1Fの手前・中央・奥)、建物2Fにて同時計測を行った。 振動計測にあたっては、当研究室に既存の振動レベル計(RION製VM-52)に加えて、本年度の補助金にてサーボ方式速度計装置(佐藤商事(株))6ch分を購入した。 また、振動計測中は建物正面から道路に向かって平成11〜12年度科学研究費補助金(奨励研究(A))「交通流記録システムを活用した環境外乱による地盤震動特性のマスキング現象の解明」(課題番号11750507)で構築したシステムを用いて、交通の様子を同時撮影した。 計測記録の分析および当研究室に既存の動的相互作用解析コードSASSIによるシミュレーション解析の結果の双方より、建物基礎が基礎周辺地盤を拘束していること、平面道路交通振動は地盤の卓越振動数が10〜15Hzと高いため小規模な基礎でも地震動と同様な入力損失が見られることがわかった。 また、加振源位置(平面道路上を走行する車両の位置)の違いが、地盤・建物の振動応答を大きく左右していることが分かり、平面道路交通振動を精度良くシミュレートするためには、厳密には移動連続点加振である問題を、擬似的に移動離散点加振に置き換えるという方向性が見えつつある。
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