研究概要 |
構造物のひび割れ進展を検証するため,柱試験体を2体制作し,逆対称せん断曲げ試験に供した。実験パラメータは,横補量である。また,主筋近傍の付着割裂ひび割れの進展を詳細に観察するため,要素試験体6体を制作し,繰り返し載荷実験を実施した。実験パラメータは,横補量,補強材種類,配筋である。実験パラメータは,横補量,載荷パターンである。これらの実験により,主な変位レベルでのひび割れ分布,ひび割れ開口幅,補強筋座屈,かぶり剥落進展を観察した。試験体は,補強材,治具,ひずみゲージおよびコンクリートから成る。載荷装置は既存設備を用いて実施した。実験データの採取は,荷重計,変位計,データロガー,スイッチボックス,パソコンおよび計測プログラムを用いて実施した。試験体の変形を観測する変位計は柱試験体で70個,要素試験体で20個使用した。実験完了後,データ整理を行い,実験パラメータがひび割れ分布・開口幅に及ぼした影響を定量的に評価する。 実験に基づき定量化したひび割れ進展データを,開発中の解析プログラムの計算結果と照合し,精度検証を実施した。その結果,曲げおよびせん断に起因するひび割れの進展については,良好な精度で予測できることを確認した。現状の課題として,せん断と付着割裂など,複数の要因により生ずるひび割れの進展の解析精度がやや劣る点,要素数の増大にともなう計算時間の増加,の2点が挙げられる。このため,ひび割れ発生のメカニズムの再検証および再モデル化,プログラム内における収束計算等の最適化を実施中である。
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