現在、日本と米国で使われている鉄骨柱脚の設計法に関するフィールドスタディを行った。米国の鉄骨柱脚設計法は弾性設計である。日本と米国の双方の柱脚の弾性設計法の背景を調査し、相違点と柱脚を構成する各要素の能力について、文献に基づき、問題点を整理した。 柱脚の挙動が上部構造の挙動に与える影響を調べた既往の研究を参考に、解析建物を選定し、解析モデルを作成し、弾性柱脚をもつ建物の挙動の特徴を、弾塑性柱脚をもつ建物の挙動と対比することにより、調べた。柱脚の弾性剛性を小さくすることによる建物の地震応答の変化を調べ、弾性柱脚を用いる方が耐震性能の観点上有利である条件を整理した。 解析結果を参考に、次年度に行う載荷実験の試験体作成の準備を行った。柱は内柱および側柱の場合を想定する。試験体は実寸法の1/2とし、全部で6体とする。柱は中空角形鋼管とし、ベースプレートは一般的に行われている弾性設計によって定める。柱とベースプレートはSN400を用いる。比較のための、伸び能力が高いアンカーボルトを用いた試験体1体、通常のSS材を用いた試験体1体を計画する。その他の試験体にはPC鋼棒をアンカーボルトとして用いる。PC鋼棒は、弾性変形能力が大きいJIS G 3109 C種(降伏強度1080N/mm^2以上)を用いた試験体とする。これらの試験体は、同じ仕様とし、PC鋼棒に載荷前に導入するプレストレスの量を、初期ひずみにして、0μおよび2400μとする。内柱試験体には軸力を与えないが、側柱試験体には軸力比にして0.1の軸力を与える。
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