研究概要 |
本年度は、主に次のような研究実績を得た。 1.東京大学の風洞において、密集した市街地を想定して,住宅の風圧係数や通風量に関する追加実験を行った。また、レーザーライトシート光源を用いた、住宅周辺の気流の可視化も行なった。 2.昨年度検討した文部科学省ITプログラムの「戦略的基盤ソフトウェアの開発」による次世代流体解析コードFrontFlow/redでは、この研究で対象とした住宅周辺流れの計算結果が既往の計算結果や風洞実験結果と符号しない部分が生じたので、やむなく今年度から英国で開発されたオープンソースのCFDツールキットであるOpenFOAMを用いることにした。 3.OpenFOAMを用いて、昨年度と同様にCFDコードのベンチマークテストとして良く用いられているバックステップ流れや,建築風環境の分野で盛んに用いられる直方体周りの流れ場の解析等の数種類の数値解析を行なった結果、既往の計算とほぼ一致した結果が得られた。 4.スーパーコンピュータを用いた超並列計算をする前段階として、PCクラスターを用いた並列計算を行ない、OpenFOAMの並列化効率を調べたところ、概ね高い効率が得られた。 5.スーパーコンピュータを用いた超並列計算の検討を行なった。 6.解適合格子(AMR)を行なう場合には、誤差推定法の性能が重要となるが、提案されている種々の誤差推定法について、その性能を様々な流れ場を対象に比較・検討した。 7.単純な流れ場を対象にAMRを用いて格子の生成を行ない、少ない格子数で誤差分布が一様に近い効率的な格子が、自動的に生成できることがわかった。
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