1.居住者の意識と住まい方に関し、平成16年度に実施し集計したアンケート結果を解析し、入居段階の居住者の意識と住環境評価の特徴を明らかにした。また、居住者の住環境評価結果と、実際の住宅地環境の特徴の関係を解析した。本年度、解析に取り上げた住宅地環境要素は、微気候(風)と緑である。 2.前年度から継続して調査し、データベース化してきた環境情報を整理し、住宅地環境情報図の作成に取り組んだ。住宅地の建物・地表面の情報は前年度整備したCADモデルを元に作成した。植生の生育状況は、現地調査と係留気球からのデジタルカラー写真撮影を実施し、情報を収集・データベース化した。それらの情報より緑をオブジェクト化し、住宅地CADモデル上にプロットした。微気候については、平成16年度の風環境の調査結果から、住宅地全体の風系を地図化した。 3.住宅地内に形成される微気候の特徴を明確にするため、申請者らが開発した全表面熱収支シミュレーション手法を用いて、住宅地内の空間形態と表面温度分布との関連を解析した。上記2.で作成した住宅地CADモデルを基に、住宅地全体の熱収支解析用質点系伝熱モデルを作成した。そして、住宅地の現況と、緑の量と質を変化させたケースについて、表面温度分布を計算した。計算結果より、屋外生活空間の平均放射温度分布と、街区が周囲に及ぼす熱環境負荷を算出し、空間形態(樹木の量・質、建物形状・配置等)との関連を分析した。
|